EUが決定したカンボジアへの経済制裁に思うこと

こんにちは。アセアン進出支援協会の阿部です。 


”カンボジア経済は2004年から2007年までの4年間,10%を超える高い経済成長を記録した。しかし,サブプライムローン問題に端を発した世界同時不況の影響を受け,2009年の経済成長率は0.1%まで落ち込んだものの,翌年の2010年には6.1%にまで回復し,2011年以降は7%成長を続けている。(中略)堅調な縫製品等の輸出品,建設業,サービス業及び海外直接投資の順調な増加により,今後も安定した経済成長が見込まれている。”


 これは外務省がカンボジアの経済概況を紹介している基礎データ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cambodia/data.html)からの引用ですが、フン・セン首相率いる現政権が不当に野党を弾圧していること理由に、EUが同国に経済制裁を発動することが決まったようです。  


EUはカンボジアに対し、武器以外の全品目を無関税で輸出できる「EBA協定」を締結していますが、2017年に現政権が最大野党を解党させ、一党独裁体制を強硬に進める姿勢をみせたことを発端にEU内で議論が進み、衣類や履物等の縫製品や旅行用品、砂糖などに標準関税が再導入されることが決定されました。  


冒頭のカンボジアの紹介文にあるように、縫製品はカンボジアの経済を支えてきた原動力の一つであり、またカンボジアの輸出の4割がEUに向かっていることから、今回のEUの決定がカンボジア経済にどこまで影響するかが懸念されます。  



奇しくも、今世界を騒がせている新型コロナウィルス問題で、日本をはじめとした多くの国が入港を拒否したクルーズ船「ウェステルダム」号の入港を受け入れたのはカンボジアでしたが、今回の措置だけではEUがカンボジアに対する心象を回復するには不足する部分が多くありそうです。 


ところで、今回のカンボジアに対するEUの決定と新型コロナウィルスにおける世界の対応をみていると、組織理念と個の乖離ということについても考えさせられました。中国を震源地に、多くの感染者が集まるアジアに対し、ヨーロッパにおけるアジア人差別が一部報道でも聞かれています。パリ郊外の日本食レストランでは、「コロナウィルス消え失せろ」という落書きをされる事件まで発生しています。  


人権を重視し、そのことでカンボジアへの経済制裁を決めたEU。しかしその足元では、アジア人差別の風潮が実は根強く残っている…。皮肉に聞こえるかもしれませんが、そうは思っていません。EUとしては、だからこそ、組織としての理念を確立し、世界に人権を重視するという理念を発信しているのだと理解しています。 


 「禍を転じて福となす」  


中国発の感染問題が収束したあとには、中国の史記に由来があるこの言葉のように種々の問題が収束していくことを願っています。

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